牧場の裏側

今日は市内の小学校で行われた酪農体験に飛び入り参加(参観)してきた。
最近は研究の調査ついでに小学校の稲刈りや畑仕事に参加することが多いけど、
家畜を授業に取り入れているのは非常に稀だ。
今回に関しては調査ではなく、
「酪農を授業に活用するにはどんな可能性があるのだろう」
という興味本位での参加。


まずは子どもたちはエサやりからスタート!

おそるおそるな子もいるけど、みんな結構慣れたもので。


続いては畜舎内の掃除。

中央部の床下にはバーンクリーナーという糞を集めて舎外に出す装置があり、
子どもたちは床に残った糞をバーンクリーナーに落とす作業。


最後はお待ちかね乳しぼり体験。

観光牧場といえばソフトクリームと乳しぼり!
というくらい大人気な催しだ。
ほとんどの子たちが乳しぼりをしたことがあるらしく、ウマい!


というかこの小学校はかなり古くから農業に力を入れているため、
やはり子どもたちも低学年のうちからそうしたことに慣れている感じ。
もし同じプログラムを他の小学校で実施しようということになっても
子どもたちはここまで積極的になれるかは疑問だ。
また保護者の協力体制も非常にしっかりしているのも特徴で、
講師がこれやれ、あれやれと子どもに指示するシーンは見られなかった。


都市部で酪農・畜産を営む上で最大の問題点が
臭いや騒音など、周辺住民との関係であるといわれている。
「後から住み始めたのに、何で文句言うのだろう、勝手なもんだな」
なんて僕は疑問を持ってしまうけれども、そんなことを言えるもんでもないんだろうな。


でもだからこそ、子どもたちに体験させることは
そうしたことに対する理解につながるだろう。
またそこに保護者層がかかわったり、家庭での話題になることが
二次的に理解者を生み出すことにもつながるかも知れない。


今日の話の中で
「高齢になった乳牛は、経済動物である以上、廃牛にすることになる」
「はいぎゅうってなんですか?」
「廃牛ってのは…」
というやりとりがあった。
家畜はペットではない。
経済的に非効率的になった場合、処分して肉にすることは経営上当然の選択肢になる。
そうした事実を子どもたちに正直に伝える。
どこまで理解できるかはわからないけれど、包み隠さないことが大事なのだと思う。


多くの消費者が大好きな肉や牛乳等の畜産物が
どうやってできているのか。
その生産課程が身近に感じられる場所の存在はものすごく大きいと思う。
畜産・酪農農家数が市内でも減少する中、
僕は何とか農家さんを応援していくための手段を探したいと思う。



そういえば話の一番大事なことを書いていなかった。
子どもたちが帰った後、夕方のえさやりを手伝った。
さらに搾乳まで!!!
搾乳はミルカーという機械を使うのだけど、
普通は部外者はこんなことは手伝わせてもらえない。


農家さんは牛一頭一頭の特徴、性格、病状など
すべて頭に入っていて、
それぞれ搾乳のときの注意点も異なる。
こうした愛情が質の高い、おいしい牛乳生産に欠かせないのだなと感じた。
エサやりから搾乳まで、およそ3時間半。
その大変さのほんの一部を味あわせてもらった。
本当に貴重な体験をさせてもらった。
忘れられない一日☆